ぼくはきみにkissをした。
別れを切り出された時も、それから何度も飲みに行った時も、「別れた後も仲良くしたい方だから≧▽≦」と、特に気にしていなかった。
実際付き合っていた間も、"ぼくがきみを好きなキモチ"は、"きみがぼくを好きでいてくれるキモチ"よりも小さかったと思う。我ながら安い稚拙な表現ではあるけれど。
ぼくはきみにkissをした。
隣りに座るきみを見ていたら、何故か急にとても寂しくなって。
今の彼の話を聞いていたから?
飲みに行った時はいつもぼくから聞くくらいだからそれはない。
付き合い出したのが冬だったから?
出会ったのは夏、別れたのは秋。これも違うだろう。
結局理由はわからないケド、何故かあの瞬間死ぬほど寂しくなった。
だからkissした、別に「ここキス」を歌ってくれた訳でもないのに。
ぼくはきみにkissをした。
いつもの通り、首にばっかり。たまに唇に。そんなkissをきみは「上手だよ」って褒めてくれた。
・・・・・唇が震えてた。顔を上げるときみは泣いてた。
模試の国語で180オーバー取れたって、こんな時なんて云えばいいのか、きみの今の気持ちをなんて表現すればいいのか、所詮クソガキなぼくにはわからなかった。
今の彼が好きで、でもぼくの事も今でも嫌いにはならないでいてくれて、この状況をどうしていいのかわからなくて、それで泣いちゃったの。ごめんね。
きみはそう云ってくれた。理由はどうあれ、ladyを泣かせたぼくに。
こんな状況で、自分の気持ちをちゃんと相手に伝えられてる。「幼い、幼い」とよくきみをからかったけど、いまさら流石だと思った。
云うのが物凄く遅くなった気もするけど、ありがとう。
イイ男になろうと思った。とりあえずは大学受験を一撃で決める事が先なんだけど。
ぼくはきみにkissをした。
「もうしないね。」そういってきみの頬に。
きみは一回頭をぼくの肩に預けてから、改札を抜けてった。